
セラミックの詰め物・被せ物が取れた…別の歯医者に行く前に知っておきたいこと
2025.12.11

高額なセラミックの詰め物や被せ物が突然取れてしまうと、「とりあえず近くの別の歯医者に行ってもよいのか」「費用や保証はどうなるのか」といった不安が一気に押し寄せてくるものです。特に、痛みが続いている、しみる、見た目が気になるなどの症状があると、落ち着いて判断するのが難しくなるのです。また、連休中や夜間に外れてしまい、すぐにかかりつけ医へ行けない状況に戸惑う方も少なくありません。
ただ、まず知っておきたいのは「応急的にどう対応すべきか」と「別の歯科医院を選ぶ際のポイント」を理解すれば、必要以上に不安を抱える必要はないということです。本記事では「セラミックが取れたときの応急処置とどの程度の症状なら急いで受診すべきか」「元の歯医者と別の歯医者、それぞれに相談するメリット」について解説します。
当院では、できるだけ歯を残す治療方針を大切にし、歯科用CT・拡大鏡・マイクロスコープなどの精密機器を活用して診査診断を行っています。他院での治療がうまくいかなかった方のご相談にも対応しており、「なぜ取れたのか」「再発を防ぐにはどうすべきか」といった疑問にも丁寧にお答えします。
セラミックが取れた…まず落ち着いて確認したいポイント

セラミックの詰め物や被せ物が突然取れてしまうと、「この後どうすればよいのか」「急いで治療を受けるべき状態なのか」と強い不安を抱きやすいものです。ですが、最初にいくつかのポイントを確認することで、落ち着いて対処することができます。
特に、痛みの有無や歯ぐきの腫れ、取れたセラミックの状態などを把握しておくことは、その後の治療判断に役立ちます。また、取れたセラミックをどう扱うかによっては、再装着が可能かどうかにも影響するため、早い段階で適切な対応を知っておくことが重要です。
ここでは、緊急度の見極め方や来院までにできる対処、保管方法など、最初に確認しておきたい重要なポイントを順に解説していきます。まずは、どのような症状が「早めの受診が必要な状態」にあたるのかを見ていきましょう。
どんな状態なら「すぐに」歯医者へ行った方がよいか
セラミックが取れてしまった場合は、基本的に早めの受診が望ましいものです。特に次のような症状があるときは、できる限り「すぐ」に歯科医院へ連絡して受診することをおすすめします。
強い痛みが続いている、噛むたびに鋭い痛みが走る、取れた部分が黒く深く見える、あるいは歯ぐきが赤く腫れて熱を持っている場合などは、炎症や虫歯が進行している可能性が高いサインです。さらに、歯がぐらぐらしていたり、取れた部分から出血が続くような状況であれば、歯の内部や根の状態に何らかのトラブルが起きていることが考えられます。
こうした症状を放置すると、虫歯が神経にまで達してしまったり、根の周囲に膿がたまるなど、治療が複雑になるだけでなく、最悪の場合は歯を残せなくなってしまうこともあります。痛みが強い場合や見た目に異常がある場合は、なるべく早い段階で専門家の診察を受けることが大切です。
来院までに自分でしてよいこと・してはいけないこと
歯科医院を受診するまでの間、正しい対処をしておくことで症状の悪化を防ぎ、治療をスムーズに進められるようになります。
まず「してよいこと」としては、優しくうがいをして口腔内を清潔を保つこと、セラミックが取れた側の歯を使わずに食事をすること、熱い飲み物や刺激の強い食べ物を避けることが挙げられます。こうした対応だけでも炎症の悪化を抑える助けになるのです。
一方で「してはいけないこと」も明確に存在します。市販の瞬間接着剤などで無理に付け直す、自分で押し込んで元に戻そうとする、外れたセラミックをそのまま口の中に戻して過ごす、といった行為は避けてください。これらは歯やセラミックを傷つけたり、新たな虫歯を引き起こしたりする要因になります。結果として治療がより大がかりになる可能性もあるため、正しい方法で来院までの時間を過ごすことが重要です。
取れたセラミックは元に戻せる可能性がある
外れてしまったセラミックでも、状態が良ければ再び装着できるケースが少なくありません。例えば、セラミックに欠けやひび割れがなく、変形もしていない場合、また取れた歯に虫歯や割れが見られない場合には、再接着によって元の噛み心地を取り戻せる可能性があります。
一方で、虫歯が内部に広がっていたり、セラミックに破損がある場合には、残念ながら作り直しが必要になることがあります。とはいえ、まずは外れたセラミックを適切に保管しておくことで、再装着の可能性を最大限に残すことができます。次に、その保管方法について詳しく見ていきましょう。
取れたセラミックの保管方法
取れたセラミックは、治療の選択肢を広げるためにも、丁寧に保管していただく必要があります。軽く水で汚れを落としたら、ティッシュに包んだまま持ち歩くのではなく、清潔な小さな容器やチャック付きの袋などに入れてお持ちください。破片が細かく分かれてしまっていても、治療の判断に役立つケースがあるため、可能な限りすべての破片を一緒に持参していただけると診察がより正確に行えます。
セラミックが取れたとき、別の歯医者に行ってもいい?

セラミックが外れてしまった際、「このまま元の歯医者に連絡すべきか、それとも近くで通いやすい別の歯科医院に行ってもよいのか」と迷われる方は少なくありません。特に、急に取れた場合や痛みがある場合、できるだけ早く診てもらいたいという思いから、新しい歯科医院の受診を考えることも自然なことです。
ただし、歯科医院を選ぶ際には、治療内容や保証面、過去の治療情報がどう活かされるかなど、いくつか知っておきたいポイントがあります。元の歯科医院に相談することのメリットがある一方で、別の医院に相談したほうが安心できる場合もあり、状況によって最適な選択は異なります。
ここでは、別の歯医者での治療が可能かどうかの考え方、元の歯科医院に相談する利点、そして別医院の受診を検討すべきケースなどを、順にわかりやすく解説していきます。まずは、「結論として別の歯医者でも治療できるのか」という点から確認していきましょう。
結論:基本的には別の歯医者でも治療は可能
セラミックの詰め物・被せ物が取れてしまった場合、多くのケースで別の歯科医院でも診察・再装着・作り直しなどの対応が可能です。セラミックであることや、他院での自費治療であることは特別な制限にはならず、一般的な設備を備えた歯科医院であれば、大半の医院で診療を受けることができます。
ただし、予約時や来院時には「セラミックが取れたこと」「自費治療で作ったもの」である点をできるだけ具体的に伝えておくことが大切です。たとえば、「いつ頃、どのあたりの歯に入れたものか」「今どのような症状があるか」まで伝えられると、診療側は事前に必要な器具や時間配分を想定しやすくなります。歯科医院側が素材や状態をあらかじめイメージできることで、初診時の説明や治療方針の提示もスムーズになり、患者様の負担軽減にもつながるのです。
元の歯医者に相談するメリット
別の歯医者でも治療は可能ですが、だからと言って「元の歯医者に連絡する意味がない」ということではありません。むしろ、これまで通っていた歯科医院ならではの情報や保証制度があるからこそ、結果的に患者様の負担を軽くできる場合も多くあります。特に、セラミック治療が自費診療であった場合、治療後のトラブルに対する保証や、技工データが残っているかどうかは、その後の選択肢を左右する重要なポイントです。
ここでは、元の歯科医院に相談することで得られる代表的なメリットについて整理してお伝えします。
保証が使える・費用を抑えられる可能性
多くの歯科医院では、自費治療のセラミックに対して、数年単位の保証期間を設けていることが少なくありません。保証内容は医院によってさまざまですが、保証期間内であれば、外れてしまった場合の再装着や、割れ・欠けが生じた際の作り直しが、無償もしくは一部負担で済む場合があります。同じトラブルであっても、保証の有無によって、患者様が負担する金額は大きく変わってくるのです。
一方、別の歯医者で新たに作り直す場合は、その医院独自の保証の対象になるだけであり、元の歯科医院での保証は基本的に適用されません。つまり、一から作り直す費用が再度かかることになります。「まずは保証が使えるかどうかを確認する」という意味でも、元の歯医者に一度連絡を入れてみることには大きな価値があります。
お口の情報や技工データが残っている
元の歯科医院には、治療時のカルテ情報やレントゲン画像、使用したセラミックの材質・色調、どの技工所で作製したかといった詳細なデータが残っていることがほとんどです。「どれくらい歯を削ったのか」「神経は残しているのか」「どのような噛み合わせを想定して作られているのか」といった情報は、再治療の際に非常に役立ちます。
こうした情報があることで、再装着が可能かどうかの判断がしやすくなり、仮に作り直しが必要になった場合でも、以前の仕上がりを参考にしながら治療を進めることができます。また、同じ技工所に依頼することで、色や形を近いイメージで再現しやすいといった利点もあります。「今と同じような見た目で治したい」「前回の治療内容を踏まえて相談したい」といった希望がある場合には、元の歯医者に相談するメリットはより大きくなります。
別の歯医者を検討した方がよいケース
一方で、状況によっては別の歯科医院を選んだほうが、結果的に心身の負担が軽くなる場合もあります。例えば、これまでの治療説明に納得できなかったり、仕上がりや対応に不安が残っている場合、通院のたびに強いストレスを感じてしまうことがあります。「また同じ結果になってしまうのではないか」「本当に自分に合った治療をしてもらえているのだろうか」といった不安を抱えたまま通い続けることは、決して望ましい状態とはいえません。
また、生活環境の変化によって通院が難しくなったり、セラミックが何度も取れてしまうなど、トラブルが繰り返されている場合には、治療そのものを見直す必要が出てくることもあります。不信感が強い状態では、通院そのものが苦痛になり、受診を先延ばしにしてしまう原因にもなりかねません。長く付き合う「かかりつけ歯科」を考えるうえでも、自分が信頼して相談できる歯科医師を探すことは、とても大切な視点なのです。
仕上がりや対応に不満があるとき
見た目が思っていたのと違う、噛むと違和感がある、説明が十分でなく質問しづらい雰囲気だったなど、治療後にモヤモヤした気持ちを抱えている方は少なくありません。セラミック治療は費用も時間もかかるからこそ、「納得のいく仕上がりであってほしい」「きちんと話を聞いてもらいたい」というお気持ちは当然のことです。その気持ちが満たされないままトラブルが起きると、「もう同じ歯医者には相談しづらい」と感じてしまうのも無理はありません。
そのような場合には、別の歯科医院で今の状態を客観的に評価してもらうことも、一つの選択肢になります。のだ歯科クリニックでは、現在のお口の状態を丁寧に診査し、「どこに問題があるのか」「今のセラミックを活かせるのか」「どのような治療の選択肢があるのか」をわかりやすくご説明するよう心がけています。必要であれば再治療や別の治療法も含めて、一緒に相談しながら決めていくスタイルを大切にしており、「一度意見を聞いてみたい」というセカンドオピニオンのご相談も受け付けています。
通院が難しい・転居したとき
引っ越しや転勤、勤務時間の変更、家族構成の変化などにより、これまで通っていた歯科医院が遠方になってしまうケースもよくあります。「仕事帰りに寄れなくなった」「予約が取りづらく、治療の間隔があきすぎてしまう」といった状況が続くと、通院そのものが大きな負担になり、必要な治療やメインテナンスを受けづらくなってしまいます。
歯科治療、とくにセラミックのような被せ物・詰め物のケアは、一度で終わりではなく、その後の定期的なチェックやクリーニングも含めて考えることが重要です。生活圏に近い歯科医院を選び直すことで、「無理なく通い続けられる環境」を整えやすくなります。通いやすさという現実的な条件は、長く歯を守っていくうえで非常に大切なポイントです。
何度も取れてしまう・再治療をきちんと見直したいとき
セラミックが一度だけでなく、何度も外れてしまう場合には、「たまたま外れた」というよりも、何か根本的な原因が潜んでいる可能性が高くなります。例えば、歯ぎしりや食いしばりの癖が強い、噛み合わせのバランスが崩れている、土台となる歯の形態が十分でない、接着面に細菌が入り込みやすい環境になっているなど、複数の要因が重なっていることも少なくありません。
このようなケースでは、単にもう一度セラミックを付け直すだけでは、同じトラブルを繰り返してしまう恐れがあります。原因を丁寧に探り、必要に応じて噛み合わせの調整やナイトガード(マウスピース)による保護、歯周病や虫歯のコントロールなど、土台となる部分から見直していくことが重要です。のだ歯科クリニックでは、歯科用CTや拡大鏡などを用いた精密な診査を行い、なぜ取れてしまったのかを可能な限り明らかにしたうえで、再発を防ぐための治療計画をご提案するようにしています。
別の歯医者にかかるときに事前に準備しておきたいもの
別の歯科医院へかかることを決めた場合、事前にいくつかの情報や書類を準備しておくことで、初診時の診査やカウンセリングがぐっとスムーズになります。特に、自費治療のセラミックの場合は、保証書や治療説明書、過去の見積書などがあると、以前どのような治療を受けていたのかを新しい歯科医師が把握しやすくなります。また、服用中のお薬がわかるお薬手帳は、全身状態を踏まえた安全な治療を行ううえで重要な情報となります。
さらに、取れたセラミックそのものを清潔な状態で持参していただくこと、治療を受けた時期や回数、大まかな経過をメモしておくことも有用です。「いつ頃から違和感があったか」「どのような説明を受けたか」といった情報はカルテだけでは分からない部分であり、新しい歯科医師が状況を理解するうえで大きな助けとなります。こうした準備をして来院していただくことで、限られた診療時間のなかでも、より的確な診断と治療の提案が行いやすくなります。
セラミックが取れる主な原因

セラミックが取れてしまうと、「自分の歯が悪かったのか」「つけ方が悪かったのか」と気になってしまう方が多くいらっしゃいます。実際には、セラミックが外れる原因は一つではなく、歯の内部での虫歯の再発や、噛み合わせ・歯ぎしりなどの力の問題、接着剤や土台の状態、さらには日常の食習慣など、複数の要因が重なって起こることがほとんどです。
ここでは、「なぜ取れてしまったのか」を整理するために、代表的な原因をいくつかの観点から分けてご説明します。
歯の中で虫歯が再発している場合(二次カリエス)
セラミックの詰め物や被せ物は、見た目もなめらかで一体感がありますが、その境目には必ず「ごくわずかな段差」や「目に見えないすき間」が存在します。この境目のわずかなすき間から唾液や汚れが入り込み、時間をかけて少しずつ虫歯菌が広がっていくと、歯の内部で虫歯が再発してしまうことがあります。これを「二次カリエス」と呼びます。
最初は表面からは分かりにくいのですが、進行してくると、セラミックの周囲から「においがする」「黒く見える部分がある」「冷たいものがしみる」といったサインが現れることがあります。さらに虫歯が大きくなると、接着している部分の支えが少なくなり、ある日突然ポロッと取れてしまうことも珍しくありません。「外れた」「なんとなく臭いが気になる」「黒く見える部分がある」という症状が重なっている場合は、内部の虫歯が進行している可能性を疑う必要があります。
噛み合わせ・歯ぎしり・食いしばりなど力の問題
セラミックは適切に作製・接着されていれば長く使える素材ですが、噛み合わせや歯ぎしり・食いしばりなどの「力の問題」がある場合、その負担は想像以上に大きくなります。特に、就寝中の歯ぎしりは自分ではコントロールできず、瞬間的に強い力が繰り返しかかるため、セラミックや土台の歯にダメージが蓄積しやすくなります。
例えば、「朝起きたときにあごが重だるい」「日中、気がつくと歯をぐっと噛みしめている」「特定の歯だけが強く当たる感じがする」といった自覚がある場合、噛み合わせのバランスが崩れていたり、歯ぎしり・食いしばりの癖が強い可能性があります。このような状態が続くと、セラミックの一部に集中して力が加わり、接着剤が少しずつ緩んで「外れやすい状態」に近づいていきます。
接着剤の経年劣化や土台の形態の問題
セラミックを歯に固定する際には、専用の接着剤(セメント)を用います。この接着剤は非常に強力ですが、長い年月が経つと、わずかな経年劣化やお口の中の環境変化(温度差や酸・細菌など)の影響を受け、保持力が少しずつ弱まっていくことがあります。
また、セラミックをしっかり固定するためには、土台となる歯の形態も大切です。歯を残す量とのバランスをとりながら、できるだけ削る量を少なくしようとすると、どうしても「保持力」との兼ね合いが難しくなることがあります。その結果として、条件が重なったときに外れやすくなってしまうケースもあるのです。
フロスや硬い食べ物で取れるのは『たまたま』ではない
「いつものようにフロスを使ったらセラミックが取れてしまった」「おせんべいをかんだ拍子に外れた」というお話はよく伺います。このようなとき、多くの方が「たまたま強く引っ張ってしまったから」「硬いものをかんだから悪かったのだろう」と考えがちですが、実際には、取れる前からすでにセラミックが緩んでいた可能性が高いです。
フロスや硬い食べ物は、あくまで「最後の一押し」となるきっかけに過ぎず、その前の段階で、接着部に虫歯ができていたり、接着剤の劣化や噛み合わせの負担によって、セラミックと歯の間に微妙なゆるみが生じていたと考えられます。その状態で普段通りの力が加わると、あるタイミングで「外れるべくして外れた」という形になるのです。
治療から時間が経っていないのにセラミックが取れたとき

セラミックを入れてから数週間〜数カ月程度しか経っていないのに取れてしまった場合、「こんなに早くダメになるものなのか」「治療自体が問題だったのではないか」と不安になってしまう方も多いと思います。数年〜十数年といった長期使用後のトラブルとは異なり、比較的短期間で外れた場合には「噛み合わせ」「歯の形態」「接着の条件」といった要因の影響が大きいと考えられます。
わずかな力のかかり方の違いがセラミックの外れやすさにつながることもあります。そのため「なぜ短期間で外れてしまったのか」を一度冷静に振り返り、必要に応じて治療計画を見直すことが大切です。
現在の主治医にしっかり説明を求めるのはもちろんのこと、「他の意見も聞いてみたい」と感じる場合には、セカンドオピニオンとして別の歯科医院に相談するのも一つの方法です。のだ歯科クリニックでも、他院で治療したセラミックが短期間で外れてしまった方のご相談をお受けしており、精密な診査にもとづき、歯をできるだけ残しつつ、再発を防ぐための治療方法を一緒に考えていきます。
取れたセラミックは再装着できる?作り直しになる?
セラミックが取れてしまったとき、多くの方が気になるのが「これはもう作り直しなのか」「まだ使えるのか」という点ではないでしょうか。同じセラミックを生かせるのか、それとも新しく作り直すべきかは、見た目だけでは判断がつきにくく、専門的な診査が必要になります。ただし、いくつかの目安を知っておくことで、おおよそのイメージをつかむことは可能です。
取れたセラミックや土台の歯に大きな問題がなければ、再装着が検討できるケースもあります。一方で、虫歯や歯の破折、セラミック自体の割れや変形がある場合には、安全性や長期的な予後を考えて作り直したほうがよいこともあります。ここでは、「再装着しやすいケース」と「作り直しになりやすいケース」を分けてご説明します。
再装着できるケース
取れてしまったからといって、必ずしも「新しく作り直さなければならない」というわけではありません。セラミックと歯の状態が良好であれば、再装着によってそのまま使用を継続できる場合もあります。特に、外れた原因が接着剤の劣化や一時的な力の負担にとどまり、虫歯や歯の破折が見られない場合は、再装着を第一選択として検討することが多くなります。
再装着しやすい代表的な条件について解説します。
セラミックが欠けていない・変形していない
まず重要なのは、セラミック自体の形や強度が保たれているかどうかです。外れたセラミックをそっと元の位置に戻したとき、ぐらつきが少なく、ピタッと収まる感覚があれば、適合性が保たれている可能性が高いと言えます。見た目にも大きな欠けや割れがなく、表面のツヤや形が保たれていれば、再装着を検討しやすくなります。
逆に、小さなひびや角の欠けがある場合でも、噛み合わせに影響しない部分であれば、修正や研磨で対応できることもあります。ただし、肉眼では分かりにくい微細な亀裂が入っているケースもあるため、拡大視野で確認し、将来的に割れが広がるリスクが高くないかを慎重に見極めることが大切です。セラミックの状態が良く、適合が保たれていると判断できれば、再装着によって費用や時間の負担を抑えながら、元の噛み心地を取り戻せる可能性があります。
土台の歯に虫歯や割れがない
セラミックが外れても、土台となる歯の側に問題がなければ、再装着によって再び安定した状態を目指すことができます。具体的には、歯の表面に新たな虫歯が見られないこと、歯の根や土台の一部が割れていないこと、歯ぐきの炎症が強く出ていないことなどが大切なポイントになります。
土台の歯に問題が少ない場合、削る量を最小限に抑えたうえで再接着することも可能になり、できるだけ天然の歯を残すこともできます。
作り直しが必要になるケース
一方で、セラミックや土台の歯の状態によっては、残念ながら作り直しが必要になるケースもあります。見た目には「もったいない」と感じられるかもしれませんが、無理に再利用した結果、割れやすくなったり、虫歯が進行しやすくなってしまっては本末転倒です。長期的に歯を守るという観点から、「あえて作り直したほうがよい」と判断することもあるのです。
作り直しの判断になる代表的な条件を以下で解説します。
セラミックが割れている・欠けている
セラミックが大きく割れてしまっている、あるいは目立つ部分が欠けている場合には、基本的には新しく作り直すことが推奨されます。割れた状態のまま再接着したとしても、強度が十分に保てなかったり、噛み合わせのバランスが崩れて他の歯やセラミックに負担がかかる可能性が高くなります。また、美しさを重視する前歯部では、欠けやひびが残っていると見た目にも影響が出てしまいます。
一見すると小さな欠けであっても、その部分から力が集中してさらに大きく割れてしまうこともあり、長期的な予後を考えると、しっかりと作り直したほうが安心できるケースは少なくありません。新たに作る際には、以前よりも力のかかり方や噛み合わせを考慮した設計に見直すことで、同じトラブルを繰り返しにくくすることができます。
虫歯で歯の形が変わってしまっている
取れたセラミックの下で虫歯が進行している場合、虫歯をしっかり取り除くと、土台の歯の形が大きく変わってしまうことがあります。以前のセラミックは「元の歯の形」に合わせて作られているため、土台の形が変わると、ピッタリ合わなくなってしまうのです。その状態で無理に元のセラミックを戻そうとすると、すき間ができやすくなり、再び虫歯ができるリスクが高まります。
そのため、虫歯が広がって土台の歯の形が変わってしまった場合には、作り直しが必要になることが多くなります。のだ歯科クリニックでは、まず虫歯を丁寧に除去し、歯をどの程度残せるのかを慎重に見極めたうえで、新しいセラミックの設計を行います。「削る量を最小限にしつつ、しっかりとフィットする形」を目指すことで、再発リスクを抑えた治療を心がけています。
歯の根が割れて抜歯が必要な場合
セラミックが外れた原因が、歯の根そのものの破折である場合、残念ながら歯を残すことが難しく、抜歯が必要となるケースがあります。典型的な症状としては、「噛むと強く響くような痛みが続く」「歯ぐきが繰り返し腫れる」「レントゲンで根の周りに黒い影が見える」といったことが多いです。根が縦に割れてしまっている場合、その割れ目から細菌が入り込み、炎症が慢性化してしまうため、保存治療では対応が難しくなります。
抜歯となった場合には、その後の選択肢としてブリッジ、インプラント、部分入れ歯など、いくつかの方法が考えられます。それぞれにメリットと注意点があり、お口全体のバランスや予算、ライフスタイルによって適した方法は異なります。のだ歯科クリニックでは、歯科用CTなどを用いて根の状態を正確に診断し、「本当に抜歯が必要かどうか」を見極めたうえで、抜歯が避けられない場合には、その後の治療方針についても丁寧にご説明しながら一緒に選んでいきます。詳しい内容は、インプラントやブリッジなどを解説した別の記事も参考にしていただければと思います。
別の歯医者を選ぶときのチェックポイント

「せっかくなら、今度はしっかり納得できる歯医者を選びたい」「同じようにセラミックが取れてしまうのは避けたい」と感じている方にとって、どのような基準で医院を選ぶかはとても重要なポイントです。セラミック治療は保険診療に比べて費用も時間もかかる治療だからこそ、「どこで治療を受けるか」という選択が、その後の安心感や満足度を大きく左右します。
選ぶ際にまず確認したいのは、セラミック治療や再治療の経験・症例数がきちんとあるかどうか、そして精密な診査・診断体制が整っているかという点です。レントゲンだけでなく、必要に応じて歯科用CTや拡大鏡・マイクロスコープなどを用いて、細かな部分まで確認してくれる医院であれば、原因の見落としを減らしやすくなります。また、「できるだけ歯を残す」という考え方を持っているかどうかも大切で、すぐに抜歯に踏み切るのではなく、残せる可能性をしっかり検討してくれるかが一つの目安になります。
さらに、費用や保証内容、治療の流れについて分かりやすく説明してくれるかどうかも重要なチェックポイントです。不明点をそのままにせず、写真や図を使いながら丁寧に説明してくれる医院であれば、治療途中で「本当にこれでよいのだろうか」と不安になる場面も少なくなります。加えて、痛みや恐怖心への配慮があるか、通いやすい場所・診療時間か、スタッフに相談しやすい雰囲気かといった、通院のしやすさも見逃せない部分です。
のだ歯科クリニックでは、「なるべく歯を残す」ことを基本方針とし、歯科用CT・拡大鏡・マイクロスコープなどを活用した精密診査を行いながら、セラミック治療や再治療にも対応しています。女性医師の在籍や担当衛生士制による継続的なサポートにより、「話しやすくて不安を相談しやすい環境づくり」にも力を入れています。
よくある質問「セラミックが取れたとき、これって大丈夫?」
ここでは、セラミックが取れた際の対応に関してよくある質問をまとめています。
Q.連休中・夜間にセラミックが取れてしまった場合はどうすればいい?
A.連休中や夜間など、かかりつけの歯医者が開いていないタイミングでセラミックが取れてしまうと、「今すぐ救急に行くべきなのか」「休み明けまで待ってよいのか」が分からず、不安が大きくなりやすいものです。まず押さえておきたいのは、「強い痛みや腫れがあるかどうか」で判断が大きく分かれるという点です。
たとえば、ズキズキとした強い痛みが続いて眠れない、歯ぐきが大きく腫れて顔まで膨らんできている、高熱を伴っている、出血が止まらないといった場合は、急性の炎症が強く出ている可能性があります。このような症状があるときには、休日や夜間でも対応している救急歯科・口腔外科などへの受診を検討していただくほうが安心です。応急処置がメインとはなりますが、痛みや腫れを和らげるための処置や投薬を受けられることがあります。
一方で、「取れた部分がしみる程度」「違和感はあるが我慢できないほどではない」「見た目が気になるが痛みはない」といった場合には、応急的なセルフケアを行いながら、連休明けや診療時間内の受診を目指す、という対応でも問題ないケースが多くなります。その際は、取れた部位で噛まないように気をつけ、冷たいものや熱いもの、硬いものを避けること、外れたセラミックを清潔な容器に保管しておくことが大切です。
Q.市販の接着剤で一時的に付けてもよい?
A.結論からお伝えすると、これは基本的におすすめできません。むしろ、その後の治療を難しくしてしまう可能性があるため、避けていただきたい対応の一つです。
市販の接着剤は、歯科用に設計されたものではなく、歯やセラミックとの相性や、お口の中という特殊な環境(湿度・温度変化・噛む力など)を前提に作られていません。そのため、一見くっついたように見えても適切な位置からずれて固まってしまったり、すき間ができてその中に汚れや細菌が入り込みやすくなったりします。結果として、短期間で再び外れてしまうだけでなく、内部で虫歯が一気に進行してしまうリスクも高くなるのです。
また、接着剤が歯やセラミックの表面に固く残ってしまうと、歯科医院での除去に時間がかかり、土台やセラミック自体を傷つけてしまう原因にもなります。こうした理由から、「一時的にでも市販の接着剤で付けておく」という方法は基本的にNGとお考えください。どうしても見た目が気になる場合には、マスクなどでカバーしつつ、できるだけ早めに歯科医院を受診していただくのが安全です。
Q.詰め物が取れてから何日以内に受診するのが目安?
A.「痛みがないので、どのくらいまでなら放置しても大丈夫でしょうか」というご相談もよくいただきます。痛みがないとつい先延ばしにしてしまいがちですが、目安としては「できれば1週間以内、遅くとも2週間以内には受診していただきたい」とお伝えしています。
セラミックが取れてしまった部分は、もともと削ってある歯の象牙質がむき出しになっている状態です。そこに食べかすや細菌が直接触れることで、虫歯が進行しやすくなるだけでなく、冷たいものや熱いものに対してしみやすくなったり、外からの刺激で痛みが出ることもあります。最初は何も症状がなくても、時間が経つほど内部で静かにダメージが蓄積していくため、「痛くなってから行こう」と考えると、結果的に治療が大掛かりになることが少なくありません。
また、取れた状態のまま長期間放置すると、周囲の歯が少しずつ動いてしまい、元のセラミックがはまりにくくなることもあります。再装着できるはずだったものが、土台や噛み合わせの変化によって使えなくなってしまうこともあるのです。その意味でも、痛みの有無にかかわらず、早めに受診して状態を確認してもらうことが、歯を守るうえで非常に重要になります。
まとめ:セラミックが取れてしまったら、我慢せず早めに相談を

セラミックの詰め物・被せ物が取れてしまうと、「また高額な治療が必要なのでは」「どの歯医者に行けばよいのか」と不安になりやすいものです。しかし、原因をしっかり見極めて適切に対応すれば、歯をできるだけ残しながら、再発のリスクを減らすことは十分に可能です。
まず知っておきたいのは、「別の歯医者でも治療は可能だが、保証や治療データの点では元の歯科医院にもメリットがある」ということです。保証の有無や内容によって自己負担額が大きく変わることもあるため、迷われている方は一度、元の医院にも問い合わせてみるとよいでしょう。そのうえで、不信感や通いにくさがある場合には、別の歯医者でセカンドオピニオンを受ける選択肢もあります。
また、痛みがない場合でも、取れた部分を放置すると虫歯や歯の破折につながる恐れがあります。取れた側で噛まない、冷たいものや硬いものを避ける、外れたセラミックを清潔に保管して持参するなど、簡単な応急処置を行いながら、できるだけ早めの受診を心がけてください。
高石市周辺で「セラミックが取れてしまって不安」「以前の治療をきちんと見直したい」とお感じの方は、のだ歯科クリニックへご相談ください。当院では、歯科用CT・拡大鏡・マイクロスコープなどによる精密診査をもとに、原因をていねいに診断し、できるだけ歯を残す治療方針をご提案します。他院での治療後の不安やセカンドオピニオンのご相談も承っています。
一人で不安を抱え込まず、「まずは今の状態を確認してもらう」つもりで、どうぞお気軽にご相談ください。
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